答志島の一日

答志島スカイライン
全線長さ10km未満。
獲得標高100m未満。
梅雨の晴れ間の一日、
できたらこのスカイラインを走ろうと思い三度目の答志島へ渡った。

鳥羽市の市営定期船乗り場は一新されていた。
場所が分からずしばらく車でうろうろ・・・・・
「確かこの辺りだったがなぁ」と車の中で思案していると、警備員風のおっさんがやってきて
「どちらへお行きですか?」
「市営定期船乗り場へ行きたいんですけど」
「あ、そこに見えるマリンターミナルがそうです」
ちゃんと日本語の看板も出してくれよ。
”市営定期船乗り場”で頭にインプットされてる年寄りは”マリンターミナル”って言われたってすぐには変換できないんだよ。
なんだって横文字にすりゃいいってもんじゃない。
もっと日本語を大事にしてくれよ。
無事定期船に乗船。2年前に来た時はBD−1の相棒はDAHONだったが、DAHONは人に貰われていった。今回の相棒は物置で眠っていたBROMPTONだ。


和具港から1kmほど離れた答志港へ向うが数十mの小さな坂を越えなければならない。これが越えられない。心臓がパンクしそうだ。BD-1はすいすいと登っていった。
坂の上にあるお寺で大休止。
「願い事を頼むんじゃないよ、今まで生きてこられたことに感謝するんだ」
二人で鈴を鳴らし手を合わせる。
誰もいない境内で静かな島の時間が流れる。


坂を下るとすぐ答志港の漁村地帯だ。
海辺の狭い土地を利用しつくした漁村の路地は狭い。
自転車を降りて歩く。


路地から路地をくねくね曲がっているとどちらに向っているか分からなくなる。
「ボク、海はどっち?」
「あっちだよ」



誰もいない港の外れまで来た。
一人の漁師が船の上で甕の掃除をしていた。
「ちょっとお話していいですか?」
「あ?」
「その甕は何ですか?」
「蛸壺だよ」
「掃除してるんですか?
「蛸はきれい好きだから中が汚れていると入ってくれねんだよ」「蛸はな、あわび、サザエ、伊勢海老など喰うんだ」
「蛸は美食家ですね」
「そうだなぁ」
スカイラインを走って桃取漁港まで行こうと言う力と、元気はなくなっていた。



答志港の待合所へ戻り、ぼんやり船を待つ。
会話も途切れがち。
静かな島の時間が流れる。
やがて、やってきた船に乗り込み島を離れる。
fare.well to 答志島  
また来るからね。