2009年12月1日 三重県の峠を訪ねる

61歳でスポーツバイクの楽しみを知った「シゲさん」はしみじみ後悔した。
”こんな楽しいことをなぜ今まで知らなかったのだろう。これから体力は加速度的に衰えていくのに。
 20年、いや10年、せめて5年前にこの楽しさを知っていたらどれほどよかったことか”と。
そして、自分を納得させるように思い返した。
”いや、65歳までスポーツバイクを知らなかったと思えばまだましじゃないか”と。
4040倶楽部の皆さんと同じように、「シゲさん」は自転車で風を切る爽快感に浸ってしまったのです。
62歳でBIANCHI−LUPOを購入した「シゲさん」はしかし登り坂が嫌いだった。
体力不足を自覚していた「シゲさん」は登り坂どころか、あろうことかその日のコースに風向きまで考慮に入れた。
”今日は北よりの風だから北から南へ向かって走ろう”
風向きがよく分からない時は枯れ草をむしって放り投げ風向きを調べた(なんという軟弱さ!4040倶楽部にふさわしい?いやふさわしくない)。
BIANCHIとDAHON/SPEED−P8(DAHONは次男の贈り物。たぶん使いまわしたBD-1を高額で親に売りつけたことに良心の呵責を感じていたのかもしれない)であちこちポタリングを楽しんでいた「シゲさん」は65歳の初夏、意を決してTREK2.3を購入した。
ロードバイク購入の決め手はその軽さだった。輪行も多かった「シゲさん」にとってLUPOの難点はその重さだった。
12kgを越える荷物を片手に駅の長〜い階段を登るたび、腰椎に古傷を抱える「シゲさん」はため息をついたものだ。
TREK2.3の軽快さに心を奪われた「シゲさん」は或る決意を胸に秘めた。”TREKで山を登ろう”
10代後半から約50年にわたり山に親しんできた「シゲさん」は東海地方の名だたる山はだいたい登っている。
”懐かしい山々の麓を走ろう”
こうして「シゲさん」のヒルクライムは65歳の初夏に始まった。それはあまりにも遅いスタートだったが「シゲさん」には61歳の時に感じた後悔はなかった。”これからできることをやろう”
前期高齢者になり頭が薄くなってきた老人がギヤーを一杯に落とし、4040と息を切らして(口から泡も飛ばしているんじゃないか?心配だ)低い峠を登る姿はあまり見られたもんじゃないだろう。しかし一日100km、累積標高差1000mを目標に(この目標が達成されたことはほとんどない)、「熊出没注意」の看板が増えたことを気にしながら、”あと何年こんなことが続けられるだろうか”と思案しながら息を切らして「シゲさん」は走る。

長大な前置きを読んでいただきありがとうございます。
”ブログを書くことに何の意味がある?「シゲさん」の思いでは「シゲさん」だけのものだ”と思いつつもブログを開設しました。しかも「シゲさん」はITに弱い。編集が不十分で読みづらいかもしれない。またこのツーリング記録に何も意味や価値がないことは「シゲさん」が一番よく知っている。ただひとつ、”読んでくださる方があり、少しでも何かを感じていただければそれで十分”そんな思いで「シゲさん」はブログを書き綴ります。
また前置きになってしまった。すみません。

と、ゆーわけで三重県松阪市美杉村辺りの山へ行ってきましたのでその記録?を書いてみます。

起点は松阪農業公園「ベルファーム」。ここへ車をデポして北へ向かって走り出す。静かな山里の道を目指すが最初からそうは行かない。平日とてダンプも多く風圧で煽られそうになる。伊勢自動車道を潜って県道580号へ入るととたんに車が減り静かなツーリングを楽しむ。前方に矢頭山が見えてきた。

県道43号に合流し最初の目標である矢頭峠(370m)へ向かう。
刈入れも終わった山里をがらがらの路線バスが走っていった。それを見て、この先にも人家があることを知る。

道が狭く勾配がきつくなりしばらく登ると三重県天然記念物「矢頭の大杉」がある。

十数年前数人で矢頭山を登った時、この大杉の辺りで身支度を整えていた。そのとき地元の小学生と思われる子供たちが自転車で、わいわいきゃーきゃー言いながらに賑やかに登って来たことを思い出す。あの時「子供は元気だな−、自転車でここまで登るなんてできっこないわ」と皆で言い合った。あの当時の子供たちからすれば55歳も年上の自分が今自転車で峠まで登っている。これは喜ぶべきことか?大いなる退歩ではないか?「シゲさん」は複雑な心境になった。
矢頭峠から気持ちよくダウンヒルして県道29号へ出、清水峠(410m)を目指す。清水峠の急な下りをつんのめりそうになりながら下り、三つ目の峠、細野峠(450m)を目指す。
野峠の向こう側は盛りを過ぎた黄葉が最後の輝きを放っていた。

野峠からは快適なダウンヒルが続き国道166号に出会った。予定ではこのまま車のデポ地に帰ろうと思っていたが時間が早かったのでこのまま国道166号を南下し、県道700号、国道42号、県道59号とつないでデポ地に戻った。おかげで県道59号の高見から残照に映える掘坂山と観音岳に会うことができた。
今日の走行距離約70km(コンピューターが不調で速度が時々ゼロ表示なってしまう)、累積標高差約800m。

ここ1ヶ月で3回もお世話になった農業公園の駐車場。注意書きがあったので読んでみたら、この駐車場はため池の機能を持たせてあるので大雨が降ると水没するそうだ。農産物直売場へ行く。時間が遅いのでめぼしいものはなかったが美味しそうなニンニクがあった。直径40mm以上のものが6個で300円。”安い”と直感し買った。大昔、山小屋でニンニクを丸焼きし喰ったときの旨さが忘れられない。その晩心臓がバクバクしたが・・・・。