(備忘録)東海自然歩道ステージ5

ステージ5は石山寺から西の終点箕面公園までです。比叡山、大原、鞍馬、高尾、苔寺などなど、観光名所が次から次へと現れます。コースのつなぎかたが本当によく考えられていると思いました。



【1998-10-12 石山寺近江神宮(単独)】
この日から箕面公園目指しての再出発。8:10人影もまばらな石山寺着。門前の土産物屋の人に写真をとってもらい出発。幻住庵辺りで街中を離れ静かな雰囲気になってきた。やがて山道となり、一汗かくうちに千頭岳から音羽山にいたる稜線に出た。音羽山の広い山頂は登山者で一杯だった。山頂から、東に琵琶湖、西に京都の町並みを見ることができた。
しばらく稜線上を歩き、逢坂歩道橋に降りる。この辺りから大津の町並みが一望できた。町並みの俯瞰を楽しみながら降りる。三井寺、歴史博物館などを巡り街中を行くが、一時自動車専用道路に迷い込むなどウロウロした。近江神宮駅から京阪石山坂本線に乗り、石山寺へ帰る。電車は浜大津の狭い住宅街を、軒を掠めるようにして走っていった。【写真上:大津市街】



【1998-12-20 近江神宮比叡山(同行4人)】
近江神宮に車を置いて出発。街中歩きがしばらく続いた後、コースは比叡山を目指し山の中へ入り、徐々に高度が上がる。振り返るたびに琵琶湖の眺めが良くなり一同歓声を挙げる。階段を登りつめて尾根に出た。吹き抜ける風が冷たい。階段に悩まされながら登下降を繰り返す。さすが比叡山、巨木・古木が目についた。
山道の入り口に「通行禁止」の立て札があり、なんだろうと思っていたら、弁天堂の手前で山道が抜けていた。しかし、立派なまき道が付けられており、問題なく通過。立て札を見て帰ってしまう人もいるんじゃないか、と、独り言を繰り返した。ケーブルカー駅に到着。強風を避け駅の裏手で琵琶湖を眺めながら弁当を広げた。帰路はケーブルカーを使って下山。【写真右:比叡山山中】


比叡山を歩き、大原三千院寂光院を訪ねる。大原で宿泊し、古の道を辿り鞍馬寺へ、さらに足を伸ばして貴船神社に詣でる。紅葉もまだ十分に残っている季節、好天に恵まれ、有名観光地を束ねて歩いた1泊2日の旅は楽しかった。
さらに帰途、叡山鞍馬線貴船口から二ノ瀬の間、電車はこの世のものとは思えないほど鮮やかな紅葉の中を走った。車内からは乗客の歓声とため息が漏れた。電車はこの紅葉の中を、乗客サービスのため速度を極端に落として走った。車内の誰もが、この至福の時がもっと長く続くことを願ったに違いない。

【1998-11-28 比叡山大原三千院(同行2人)】
日吉大社に車を置き、坂本からケーブルカーで高度差500mを一気に稼ぎ比叡山へ。叡山根本中堂で思い切り鐘を鳴らして東海自然歩道に入った。ドライブウエイと平行して歩くが、少し距離があるので車の騒音は気にならない。玉体杉で琵琶湖の眺めを楽しみながらビールで乾杯。多くのハイカーもここで足を止め琵琶湖を眺めていた。【写真:玉体杉辺りからの琵琶湖】


一旦横川中堂へ降り、再び登り返して仰木峠へ。峠から小さな谷を下って大原の里へ出た。金比羅山に連なる山々に囲まれた大原の里は静かだった。山々の奥に天ヶ岳が優雅な姿を見せていた。しばらく行くと、そこは観光客のエリアだった。大勢の人とともに三千院に参り、寂光院に向かった。その夜は、民宿でするめを焼きながら、近くの酒屋で買ったウイスキーを飲みながら山の話にふけった。【写真:大原の里】






【1998-11-29 大原〜貴船口(同行2人)】
民宿Yの応対の悪さ、環境の悪さに憮然とした思いを抱いて、8:00に宿を出た。朝の寒気が心地よい。ところが歩いているうちに、3人のうち2人の腹具合がおかしくなってきた。いよいよ我慢できなくなったとき、神社のトイレがあり、神の助けとばかりトイレに飛び込んだ。たぶん、夕べの刺身があたったのだろうと話し合った。
古の道、薬王坂を越えて鞍馬に出る。大勢の観光客とともに鞍馬山へ登った。大勢のカメラマンが紅葉にカメラを向けていた。鞍馬山から木の根道を通って貴船神社へ出る。貴船川に懸かる川床を眺めながら貴船口へ。貴船口から叡山鞍馬線出町柳へ。出町柳からタクシーで京都駅へ。京都駅から東海道線と京阪石山坂本線を乗り継いで、車の置いてある坂本へ戻った。【写真:木の根道】




【1999-2-21 貴船口〜高尾栂尾バス停(単独)】
前年11月に目をつけておいた貴船川沿いの空き地に車をデポ、しばらく県道を進む。標識に導かれて叡山鞍馬鉄道の線路を渡り、夜泣峠への登りにかかった。雪が少し残っている。峠を越え加茂川に出る。コースは久しぶりに市街地へ向かっている。住宅街を抜け正伝寺へ。正伝寺の縁側で一息着いた。庭越しに見える比叡山が絵になっている。
正伝寺から尺八池まで、住宅街の中をうろうろした。源光庵から上ノ水峠を越えて国道162に出るまでは、一部山道を含み、静かな林道歩きが続いた。北山杉が整然と立ち並んでいる中を進む。峠を越える辺りから雪が激しくなってきた。国道162へ出たとたん、車に怯えながらの歩行となった。歩道も路側帯もないので、足下の清滝川に見とれていようものなら、はねられてしまいそうだ。雪の激しさが増してきた。栂尾バス停でこの日の行動を打ち切った。路線バスで京都駅へ。京都駅から出町柳へ再び路線バス。発車間際の叡山鞍馬鉄道に飛び乗った。【写真下右:正伝寺 下左:北山杉】






【1999-3-28 高尾〜苔寺(単独)】
前夜23:00、市営高尾観光駐車場に着き車中泊。酒が効き熟睡。爽やかな日曜日の朝を迎えた。早速清滝川沿いのプロムナードを楽しむ。自然歩道として、これだけ環境が整えられたところも珍しい。朝早いためか人もいない。ただ、錦雲渓と名付けられた景勝地では、投棄されたごみの山も見た。人家が見え出すと清滝だ。大勢の人がいた。愛宕山へ登る人が多いらしい。登山道も人々が列をなすぐらいだった。清滝川桂川で合流する地点で渓谷沿いの散策路は終わる。
自然歩道はここで小倉山沿いに市街地を苔寺へ向かっている。市街地歩きを避けるため、保津峡を渡り、25000地形図に記されている破線を辿って、山越えで苔寺を目指すことにした。トロッコ保津峡駅への吊橋を渡っていくと、駅前で数人の釣り人が酒を飲んでたむろしていた。山越えのルートを聞くと「そんなもん知らん」と言う。

見当をつけてトンネル手前から山肌をごそごそと登り始める。踏み跡は判然としない。尾根へ出てから、桂川へ向かって下降していることが分かり、あわてて反転。不明瞭な踏み跡を見失わないように気を使った。やがて、踏み跡も明瞭となり、ルートにも自信が持てるようになり、鼻歌交じりの歩行となった。
桂川沿いに伸びる嵐山の稜線歩きは快適だった。標識は少なかったが、どんどん捗った。苔寺への下山路は複雑に分岐していて煩わしかったが、最後は長い竹林を抜け林道に出た。苔寺はすぐそこだった。苔寺から路線バスを乗り継いで栂尾へ戻った。【写真上左:清滝渡猿橋 右:トロッコ保津峡駅吊橋の上から】









【1999-4-25 苔寺金蔵寺(単独)】
久しぶりに自転車を同伴しての東海自然歩道だ。金蔵寺へ自転車をデポして苔寺へ戻る。苔寺から国道へ出るまでは周りの雰囲気も悪くなかったが、国道9へ出たとたん騒音と排気ガスがひどい。旧山陰街道へ入って一息ついた。
国道を横断して県道に入ったら、道の両側に竹の子の即売店が軒を連ねていた。洛西は有数の竹の子産地であることを後から知った。県道を離れ柿畑の中をいく。柿畑を抜けると花の寺、大野原神社、金蔵寺と静かな道が続いた。
金蔵寺からの帰り道、大きな竹の子を買って自転車の前籠に入れて苔寺へ戻った。苔寺の近くに置いた車に戻り、帰りの準備をしていたら、すぐ横の竹林で竹の子を掘っていた人が「お土産に」と言って、袋一杯の竹の子をくれた。車の中を竹の子で一杯にして帰った。【写真:金蔵寺へ続く道】



【1999-5-1 金蔵寺高槻市上ノ石3丁目(同行2人)】
金蔵寺の駐車場に車を置き出発。周りの山々は新緑に映えていた。山道をしばらく登ると林道に出た。
暖かい陽射し。爽やかな風。緑鮮やかな山々。田圃からは蛙たちの大合唱が賑やかだ。鶯たちの歌声も完成の域に入ったようだ。そして、畦道はタンポポの黄で埋め尽くされていた。まさに春爛漫だった。
このプロムナードに別れを告げ、しばらく山道を登るとポンポン山の山頂だった。

ポンポン山の頂に立ち、ついにここまで来たか、という感慨にふける。春霞の中に摂南の山々が浮かんでいる。山頂を跳び上がって踏んでみたが、ポンポンという音はしなかった。十分に冷えているビールを楽しみ、腹いっぱい喰って昼寝と決め込んだ。
神峰山寺へ続く道は快適な尾根道だった。時々MTバイクの若者とすれ違った。神峰山寺で一休み。観光客が三々五々お寺へ向かう。こちらにはその元気がない。アルコールがまだ効いているようだった。新緑のもみじの下でひたすら身体を休めた。上ノ石へ向かう沿道は八重桜が満開だった。枝を揺すってやったら花びらが吹雪の如く舞散り身体を包んだ。路線バスで高槻駅へ。JRで向日駅へ。タクシーで神蔵寺へ戻った。【写真:ポンポン山の麓を行く】



【1999-5-16 高槻市上ノ石〜忍頂寺(同行一人)】
前夜、神峰山寺の駐車場にテントを張って寝た。同行者は「ひさしぶりだ」と言って大喜びだ。ところが深夜、数台のバイクがやってきて爆音をまき散らし、安眠を妨げられた。
翌朝、上ノ石バス停近くの路側帯に車を置き出発。コースである摂津公園辺りが大規模工事中とのことで、萩谷まで林道を歩いた。萩谷から地道になり竜仙の滝に向かう。道端にシャガの花が咲き乱れていた。ほどなく薄暗い山中に見栄えのしない滝が見えてきた。竜仙の滝だ。安威川渓谷も、水は汚れ、泡を吹いて流れていた。
車作大橋から車作集落に向かう。花があふれ、親切な人がいる山里はいつ歩いても気持ちがよい。山里から一汗かいて竜王山山頂に出た。見通しは効かなかった。山頂から忍頂寺バス停まではほんの一息だった。路線バスとJRを乗り継いで車のデポ地に戻った。【写真:車作集落】



【1996-6-6 人頂寺〜箕面公園【同行3人】
三河の寧比曽岳から72回、1000kmに及ぶ旅にひとくぎりつける日が来た。9:30竜王山荘近くの空き地に車を置き出発。周りの田圃は田植えも終わり、田圃を覗くと、おたまじゃくしがいっぱい泳いでいた。山間の静かな里、泉原には古い建物が多くあり、その中を縫うようにして歩く。集落の外れで大きなマムシを見た。
長い林道歩きの終点に湧水場があった。北摂霊園の真下だ。案内板に「飲用に不適」と書いてあるのに、トラックに水を大量に積み込んでいる連中がいた。この水をミネラルウオーターとして売るんだろうか?一汗かいて登りついたところが北摂霊園だった。霊園の一角から明瞭な尾根道に移る。この尾根を辿れば箕面公園に着くのだ。

観光客であふれる箕面公園に着いた。「東海自然歩道基点」の石柱が目に焼きついた。同行者がささやかなセレモニーをしてくれた。箕面公園に向かう。途中で、タクシーで帰ったほうが早いし、費用も変わらないことに気づき、雨月食堂付近でタクシーを呼び、車のデポ地に戻った。【写真上:泉原の田園地帯 下:箕面公園