もう、いいじゃありませんか?

最近知人からメールをいただいた。私のブログが長い間更新されないので心配されたらしく”お変わりありませんか?”とのことだった。ご心配をおかけしたようだ。しょうもないこと書いてもしょうもないなぁ、と思いつつ、私にブログを書く気力がまだ残っていることを知っていただくだけでもいいか、と思い久しぶりにhatena-diaryを開くことにした。
最近或る人からこんなことを聞いた。身内が肺がんになったので免疫学の世界的権威であるN大学のA教授をはるばる尋ねて相談に行った。その教授曰く「患者さんはおいくつですか? 70歳? そうですか、ならもういいじゃありませんか」・・・・・・ そうかぁ、70歳になればもういいんだ。
おいらも来年は70歳になる。昔風に言うと古希を迎えたことになる。古希を岩波国語辞典で引いてみた。”数え年の70歳の称。杜甫の詩中の句「人生七十古来稀なり」から”とあった。A教授も杜甫の詩が頭にあったのかもしれない。

DNAの配列は楽譜の並びのようなもの
今朝NHKラジオで分子生物学福岡伸一氏が話していた。以前から気になっていた人なので何気なく聞いていたら思わず引き込まれてしまった。故意に欠損させた遺伝子を組み込んだマウスが、何の欠陥も生ぜず、ガンにもならず、順調に成長し繁殖し、生まれた子供も正常であるという。
福岡先生はDNAの並びを楽譜にたとえられた。同じ楽譜でも演奏によっては別の音楽に聞こえることがある。命が音楽であるとすればゲノムがすべて解読されても命が分かったことにはならないだろう。
”ゲノムを解読すれば人間の全てが理解できる。やがて全ての病気も直すことができる。”この発想にはとてつもない落とし穴があるような気がする。それは利益のために企業化され、やがて軍事力化され、統治のための道具になるだろう。原子力の平和利用と同じ徹を踏むような気がする。原発の爆発のために、この国は「山河破れて国在り」の惨状を呈しているが、生命科学の暴発はこんなことでは収まらないだろう。京都の大学で研究されている医学者が純粋に学問の研究に励まれても、それがどう利用されるかは彼らの範疇にない。最首悟氏の問題提起はここでも的を得る。問学、問われているのは学問だ。古希を迎えた末期肺がん患者は深く頷いた。
さて、

うなぎが食えなくなるらしい

シラスが激減しているという。うなぎ料理は時価になる日が近いという。
人間様が乱獲してしまったのだ。
そんな話を聞いてあわてて?浜名湖舘山寺の浜乃木屋へひつまぶしを喰いに行った。
この料理1年前は2600円だった。
この日は2900円。
一万円出しても喰えない日が来るかもしれない。
今のうちだも、う一度喰いに行こう。



知多でお造りを食った
家の小リフォームが終わったので、
慰労会をかねてかみさんと知多へ旨いものを喰いに行った。
だが、期待はしてなかったが、やはり
鯛の刺身はふにゃふにゃだった。
海釣りが好きな知人からいただいた取りたての鯛の刺身を喰ったのは20年以上前のことになるが、あの旨さを知らなかったらこの御作りだって旨いと思って喰ったろうに。
何事によらず、知らないほうが幸せ、ということもある。


技術(技能)は進化する
4040の月ヶ瀬OFFでは梅に早かったので頃合を見てもう一度出かけた。
咲いているのに花に華やかさがない。土産物屋の婆さんが言っていた。
「いつもより一ヶ月近く遅いよ。ここへ嫁にきて50年になるけどこんなこと初めてだ。花の付き具合も半分ぐらい。これじゃ梅の収穫が心配だ」
腹が減ったので茶屋に上がり、天ぷら蕎麦を注文した。この天麩羅前方1/3は衣だけだった。胴回りも入念に衣がつけてあり実質90%は小麦粉と水だった。お客にとっては進化して欲しくない技術の部門だ。


至福の味、鳴門金時
手の込んだ料理も旨いが、至福の味となればこれだ。
ところがこの至福の味も2個目になると感じ方が違う。
”もういいよ”という感じだ。
人間の体って旨くできている。どんな豪華な料理だって、旨い食べ物だって続けて食うと身体に拒否反応が出てくる。
朝食は味噌汁にご飯(白米ではない)、それに丸ごと喰える小魚と漬物。
我々の祖先は長年にわたってそんな食事をしてきた。体もそのようにできてきた。したがって遺伝子もそういうものを喜ぶ。
恐竜の絶滅が巨大化しすぎた肉体が環境に適応できなかったことにあるとしたら(多くの種は環境の変化についていけず絶滅した)、進化を続ける人間の脳こそ恐竜の肉体に相当するものではないか。
そして、全ての生き物は他の生き物に食われるか、死んで土に還り地の養分となっている。人間だけが火葬し灰と骨を後生大事に抱えている(土葬の国もあるだろうが)。DNAは全ての生物と共通らしい。違うのは配列だけだ。そんな傲慢が人間に許されるだろうか?
福岡先生の話を聞きながらステージ4のガンを抱える私は、もう血の巡りが悪くなった脳でしばらく考え込んだ。